自由
理由もなく、せわしない街を歩く。
視界に入った公園に寄り、
太陽光に当たりながら本を読む。
何と緩やかな時間だろうか。
誰にも何にも縛られる事のない、
広げた腕の先に広がる世界。
私はこれだけ広い世界を知らなかった。
私はこれだけ広い世界の自由を知らなかった。
階段の横、石段に座る。
片側に向かって座ると、
脚が宙ぶらりんになり、後ろに倒れようとすると平地に仰向けになれる。
もう片側に向かって座ると、
脚を平地に伸ばせるが、後ろに倒れようとすると地面に叩きつけられてしまう。
私は後者に恐怖を覚えた。
後ろに倒れなければ、
地面に叩きつけられることもないというのに。
杞憂でしかないのに。
自由。
私はこの壮大な概念の前では、
やはりちっぽけな存在でしかない。
行動さえ起こさなければ、
起こることのない恐怖を縛られてる。
それでも、私は変わる。
自由は私の内にしかなくて、
私の内は自由にしか求められない。
世界を泳ぐ。
私はそれが出来るほどに自由だった。
ただ、気付かなかっただけだ。
私は変わる。今日、ここから。
私の存在を全力で肯定できる私になる。
私は、自由だ。