「死にがいを求めて生きているの」
これは朝井リョウ氏著作のタイトルである。
読書感想文は好きじゃない。
人に好まれる文章をあれこれ考えるのは性分に合わないものだ。
しかし、この一冊をとって感じたことを、ここで書き留めておきたいとも思う。
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評価やあらすじを知りたい方には、Amazonや他の方のブログなどおすすめしたい
また、予備知識が無いまま読みたい方は、ブラウザバックすることをおすすめする。
私がこの本を通して感じたのは、平成も終わりを迎えつつある中で、
この時代における人々が、特に若者の、無意識的あるいは意識的に抱える
強迫観念を明確化したということだ。
それは、つまり自分が生きていく上での軸が求められる社会との
闘いでもあるように感じた。
自分の信念やそういった軸というものが、どれ程のものか
試されている過程でもある。
また、多様化された社会での個人のあり方を
改めて問われるようであった。
生きがいや個性といったものは、多様化される程良いという理想のもと、
そこにしがみつくことそのものが、生きがいになっているという
ある種の皮肉を感じぜざるを得なかった。
そしてタイトルの通り、先にあるのは自滅そのものである。
生きていく上での必死にしがみついた先には、何もないということが
現実として突きつけられるようなそんな一冊であった。