双極性Ⅱ型の呟きの行く先

双極性障害Ⅱ型の元早稲田生。何をこなすのも下手。

夏に関する回想

夏は騒がしい。五月蝿い。

 

花々の生命力は自分を見て!と言わんばかりの主張の数々が道端にびっしり。視線を上に移すと、木の葉が枝を覆っている。花々より自己主張は激しくないが、高さのアドバンテージを駆使してかまととぶって存在感を示す。色と影を以って。

 

もうどうしようもない、がっくりうなだれて視線は下にいく。輪郭のくっきりした私の影により太陽の高さを知る。アゲハ蝶の影が横切った。夏はどこを見ても煩わしい。生命力豊富な舞台の上、汗を流し、ほとほとばてて、ふらつく私。夏に生気を吸い取られて弱々しさが際立つ。自宅が視界に入り、オアシスのように感じた瞬間、サンダルを履いた足に何かが触れ、不愉快に震えた。

 

蝉だ。腹を空に向けて円を描くようにもがいている。なんたるトドメの一撃、夏は私の触覚にまで侵食した!

 

五感に訴えかける夏。

 

しかし過ぎゆくのも早いかな、あれだけ五月蝿かった蝉は舞台を降り、鈴虫やコオロギなどといった草葉の下の勢力が強くなった。

 

街を行く人々の装いも変わる。アースカラー、くすんだ緑や青、バーガンディ。

 

わたしの目の前には、空のガムシロップの蓄積。夏は去った。秋が来る。