罪
罪が背中を這いずり回るという表現は既にクリシェと化している。
しかし、私はこの使い古された表現を確かなものなのだと体感する。
蛇の這いずるような気色悪い感触。
一瞬にして体温が低くなり、冷や汗が出るかのような感触。
私はどの宗教も信仰してはいないが、因果応報という言葉の存在を当たり前のように信じ、存在していると思い込んでいる。
罪の後には罰が下るのだろうと、罪業妄想に苛まれる。
罪という言葉では大袈裟で余りに重い表現なのかもしれない。
それでも罪悪感という言葉で言い表すには、背負ってしまったものを形容するには軽すぎる。
とある曲がある。
私のよく聴く曲なのだが、また中々に宗教色が濃い。
その歌詞の中にこのような言葉がある。
The truth is only one "As you sow, so shall you reap"
私が自分の蒔いた種はどこまで芽を伸ばすのだろうか。そして私はその時刈り取る勇気を持てるだろうか。
きっと成長した先に咲くだろう花は曼珠沙華のような、別離を思わせる物にしかならないだろう。
いや、破滅、と言うべきか。
私はこの未来を想像することが出来ない。
ただただ恐れだけが支配する。
希望は、着地点は恐らく無い。
それでもこの破滅の先の新たな創造だけを期待し、今という時間の花弁を散らしていく事だけが唯一の方法なのかもしれない。
外を見渡すと視界にあるのはイチョウの木。
雨雫の重さに耐えられないイチョウの葉が、ただこぼれ落ちていた。