絶望
静かな絶望が横たわる。
それは私へと視線を注ぎ、離してくれない。
不思議と私を襲ってくることは無かった。
私という小さな存在を囲むかのように、
それはただ眺め、じっとしている。
いっそ、心の臓まで貫いてほしい、
とさえ思う。
心まで一つの色で染め上げられたなら、
すべき事はたった一つなのだから。
死、がちらつく。
私はこの崖を飛び降りることが出来ない。
最後の理性が死ぬべきではないと引き留める。
生存本能、なのだと思う。
人格、性格、感情以前の原初的本能。
よもや理性以前のものかもしれない。
それでも積極的に死へ向かう気力すら、
今は失っている。
私は結局どちらつかずの半端者でしかない。
恥を感じざるを得ない。
生きる屍さながら、
生きながら死んでいる現在の自分に対して。
家の中に溜まったごみが、
一歩踏み出せない私の小さな勇気を象徴しているようで、
厭わしく思われた。